抄録
チタンは耐食性が良く,軽量で,高強度,しかも生体親和性に優れている。一方,通常の金属焼付陶材による修復物は審美性が良く,優れた機械的性質を有するため,歯科界では広く使用されている。本研究では,ポーセレンーチタンの接着強さおよび機械的性質に対する熱処理の影響を調べるため,真空中と大気中で,600から1000°Cまでの熱処理条件を変えて実験を行った。X線回折では,温度の上昇とともに,純チタン表面のα-Tiの相対的ピ-ク強度が低下したが,TiO2のピークは逆に増加した。チタンのビッカース硬さは温度の上昇とともに増加し,特に900°C以上の場合には硬さが急増した。熱処理しなかったポーセレンーチタン接合部の引張-せん断強さは最も高い値を示したのに対し,1000°Cで熱処理した場合は最も低い値を示した。金属顕微鏡で観察した結果,1000°Cで熱処理した場合の界面に最も厚い酸化層が観察された。以上の結果,ポーセレンーチタンの接着強さはチタン酸化膜の増加により低下する傾向があるため,通常の金合金焼付陶材使用時のディギャシングはポーセレンー純チタンの場合には適用できないことがわかった。