薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
FK037 の体内動態(第2報):ラットにおける反復投与後の体内動態
戸塚 善三郎丹羽 俊朗坂本 博徳間 洋二秦 武久黒沢 敏二宮 真一塙 真也石崎 正男
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1995 年 10 巻 1 号 p. 129-141

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抄録

新規抗生物質FK037の14C標識体20mg/kgを雄性ラットに1日1回14日間反復静脈内投与し分布,代謝,排泄について検討した.
1.反復投与した時初回,2回,10回および14回投与後8時間における血液中放射能濃度はそれぞれn.d.,0.24,0.42および0.43μgeq./mlであり10回投与以降ほぼ定常状態に達した.7回および14回投与後のAUC0-24hr はそれぞれ19.2および24.4μg eq.·hr/mlで,単回投与後のAUC0-∞は22.6μgeq.·hr/mlとほぼ同程度であった.
2.反復投与した時投与後8時間における組織内放射能濃度は大部分の組織で投与回数に伴う濃度上昇が認められたが,初回,7回目および14回目の組織内放射能濃度を比較すると7回目でほぼ定常状態に達していると考えられた.14回投与後の腎臓,皮膚,膀胱,胃,肺,褐色脂肪,骨格筋,前立腺および耳下腺の組織内放射能濃度は初回投与後の3.1~5.5倍高く,他の大部分は2倍前後の濃度を示した.14回投与24時間後の組織内放射能濃度は14回投与5分後の組織内放射能濃度の4%以下であった.
3.反復投与した時の血漿中および尿中の未変化体と代謝物の割合は変化せず,放射能のほとんどが未変化体であった.
4.反復投与した時の尿および糞中へ排泄された放射能の割合は変化せず14回投与後24時間までの尿中には累積投与量の94.2%が排泄された.

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