抄録
謙斎チョンソンは朝鮮時代の画家で、ソウルの地景を真景山水画として残した。特定された描画地点を出発点とし、デフォルメという観点から絵画と地形透視図を比較精査し、謙斎絵画のデフォルメや画角の特徴を抽出するとともに、先行研究が特定した描画地点で修正すべきものがあればそれを導出することを目的とする。分析の成果は地形透視図に比較して、絵画は鉛直方向に2倍以上伸張して描かれていること、南山の2峰の間隔が実際以上に圧縮される傾向を示していることである。水平画角は平均45°であり、広角のもの2枚は、亭とその周囲との地景的関係を見取り図的に描くために画面を合成したとみられる。