薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Buprenorphine Hydrochloride(BN・HCl)の体内動態(第1報):ラットにBN・HClを皮下投与または経皮投与(TSN-09:BN・HClを含有するテープ)したときの吸収,分布,代謝,排泄
高橋 康弘石井 成幸有薗 宏教西村 真一鶴田 和興斎藤 典之根本 裕之神 義容江角 凱夫
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2001 年 16 巻 6 号 p. 569-583

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抄録

BN・HClをラットに経皮投与(3H-TSN-09)あるいは皮下投与(3H-BN・HCl)した際の,血液中濃度,分布,代謝および排泄について検討した.
1.ラットに3H-BN・HClを経皮投与した際の血液中放射能濃度は投与後21.6時間でCmaxを示したのち48から168時間までt1/24.8日で消失した.また20,40および80μg/animalの用量で経皮投与した時,AUC0-∞およびCmaxは用量依存的に増加した.AUC0-∞より算出した経皮吸収率は約14%であった.各用量におけるTmaxはほぼ貼付終了時であったことから,貼付期間中,吸収が継続していたと考えられた.
2.ラットに3H-BN・HClを経皮投与した際の全身オートラジオグラムから投与部位に高い放封能が認められ,消化管内容物に低い放射能の分布が認められた.それ以外の組織に放射能は認められなかった.
3.ラットに3H-BN・HClを経皮投与した際の尿および糞中には,投与後168時間までにそれぞれ投与量の1.0%および8.2%が排泄された.
4.ラット,イヌまたはヒトの血漿蛋白結合率は88.9~97.4%であった.BN・HClはヒト血清アルブミン,γ-グロブリン,α1-酸性糖蛋白と結合し,その結合率はそれぞれ65.5%,41.5%および84.9%であった.
5.ラットに3H-BN・HClを経皮投与した際の血漿中には未変化体および2種の代謝物が認められ,それらはBNおよびNBNグルクロン酸抱合体であった.これらの代謝物は皮下投与した際の血漿中にも認められたことから,両投与経路におけるBN・HCl代謝経路は同じであると考えられた.

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