北海道のウシ放牧草地で開発された必要施肥量算定法の,ヒツジまたはウマ放牧草地に対する適用可能性について検討した。牧区ごとに放牧家畜の体重を面積当たりで積算し,その2.38%を被食量とみなす。この被食量を独立変数とする推定式により,窒素,リン,カリウムの必要施肥量を算出する。これと年間施肥量との差から養分収支を得る。この養分収支を放牧前後の土壌養分変化量と比較し,必要施肥量の妥当性を検証した。両者はウシ放牧草地で得られた結果と同程度の推定精度で良好に対応した。外れ値の比較的大きな牧区では,傾斜や透排水性等の土地条件,放牧圧等の管理条件に原因が想定された。これにより,ヒツジまたはウマの放牧計画立案時点で想定される放牧期延べ体重に応じ,ウシと共通の論理で年間施肥量を計画することが可能となった。