2011 年 21 巻 p. 191-197
発達障害者支援法が2005年4月から施行され, 発達障害者の障害の状態に応じ, 適切な教育上の配慮をすることが求められている。また, わが国もすでに署名し, 批准が早急に求められている「障害者の権利条約」でも, 高等教育における「合理的配慮」が義務づけられており, 発達障害を含む障害のある学生への入試特別措置は必須である。
そこでアメリカにおける大学入試のための共通試験であるSATおよびACTにおいて講じられている障害者, とりわけ我が国でいうところの発達障害者への特別措置について調査した。その結果, 受験者の約2%が時間延長を主とする特別措置を受けていること, およびその申請にあたっては, きわめて厳密な診断基準が定められていることがわかった。またこの特別措置をめぐり, 得点のフラグ化など歴史的にも, また現在でも幾つかの議論があり, これらについても整理, 報告する。