2020 年 30 巻 p. 36-43
国立情報学研究所社会共有知研究センターが考案したリーディングスキルテストが,大学入試センターが作成するセンター試験,および「言語運用力・数理分析力」テストとどのような統計的な関連があるかを観察するために,相関分析および因子分析を行った。その結果,RSTの各スコアはどのようなセンター試験の教科科目とも相関が大きくはなく,RSTスコアの合計がセンター試験総スコアと相関を最も大きくもつことから,漠然とした「いわゆる学力に関係する基礎的な能力」を測定するツールであることが確認された。このことは「言語運用力・数理分析力」テストとの緩やかな関係や,大学別のスコア,あるいはセンター試験科目とを合わせた因子分析の結果などからも傍証される。