2020 年 30 巻 p. 44-51
本研究では,多肢選択式問題と記述式問題ではいかなる思考過程の差が生み出されるかを検討するために,大学入試センター試験の国語既出問題と同じ問題文と設問内容を用いて,設問形式だけ変えた思考過程の比較実験を行った。また,一人で解いたあとに2~3人グループで対話しながら解かせる対話実験を採用することで,思考過程の違いをより詳細に把握することを試みた。結果,記述式問題では,問題文全体を踏まえながら解答を検討する深い処理,多肢選択式問題では,選択しなかった解答理由を単語レベルで確認して終わるような浅い処理が多くみられた。このような検証は,測りたい力を測ることが可能なテストとなっているかを評価する一助となる。