2021 年 31 巻 p. 326-331
神戸大学は入試改革の一環として新しい入学者選抜方法を開発し,2018年度に神戸大学「志」特別入試をスタートさせた。第1次選抜では,対面型の選抜方式を採用した最終選抜に適した合格者数に絞る必要があるため,学力の個人差が識別できることが重要な課題となる。本稿では,その課題を解決するために受験者の認知負荷をより強く意識して出題のねらいを設定した取り組みが,得点にどのように反映したのかについて分析した。4種類の認知負荷の活用は出題のねらいを達成させるためにある程度有効であることが示唆された一方で,必ずしも想定に沿わない結果もみられた。想定により近い結果を導き出せる工夫が今後の課題である。