2022 年 32 巻 p. 228-235
2020年に中国の大学入学者選抜改革において導入された新しい制度である「強基計画」に着目し,その制度が導入された背景,目的,内容,初年度の実施状況を調査した。その結果,「強基計画」はこれまでの一部の「自主学生募集」における評価の妥当性や信頼性の低下,不正行為の多発,入学後の教育との接続が希薄さという課題の改善を背景とし,将来的に国家戦略の実現に貢献しうる特定の学問分野における高度な人材を選抜・育成するという目的を有し,大学入学者選抜と入学後教育との接続を実現する選抜性の高い制度であることが判明した。