2023 年 33 巻 p. 341-347
本研究は,国立大学の志願者数増加策として,一般選抜前期日程と学校推薦型選抜Ⅱ・総合型選抜Ⅱ(大学入学共通テストを課す学校推薦型選抜,または,総合型選抜。以下,「推薦・総合Ⅱ型」と記載)の併願による延べ志願者数増加の可能性について,受験生を指導する高等学校進路担当教員を対象としたアンケート調査から検討することを目的とする。調査の結果,同一大学内の一般選抜前期日程と推薦・総合Ⅱ型の併願を勧める割合は,国公立大学全体では42.7%となり,同一大学内の一般選抜前期日程と後期日程の併願を勧める割合21.3%の約2倍となった。同一大学内の一般選抜前期日程と推薦・総合Ⅱ型の併願パターンは,今後,国立大学の延べ志願者数の増加策の軸として,有効である可能性が示唆されたと考えられる。その一方で,併願パターンの勧め度について,「どちらともいえない」の回答割合が高いケースが多かったことから,個々の高校の状況に応じて併願パターンを提案する広報活動の必要性が示されたといえる。