2023 年 33 巻 p. 74-80
本研究では,特色加点制度の検証を通じて,志願者本人が自分の高校時代の取り組みを振り返り,大学入学後の学びと摺り合わせて言語化することが,アドミッション・ポリシー理解の促進や志望学部とのミスマッチ解消に効果的であるのかを検討した。その結果,「これまで自分が頑張ってきたことを振り返る機会となった」,「志望学部に入学したいという意思が固まった」,「文章(言語化)にしたことで,自分の進学意識が明確になった」という進路意識の明確化がみられた。また,これらの心理的な変化に影響を与えていたのは,「最も自信のある取り組みの内容を掘り下げてアピールした」及び「大学入学後に何を学ぶかを分析してアピールできる点を探した」という戦略性と,「志望学部・学科等のアドミッション・ポリシーを調べた」及び「志望学部・学科等の学びの内容やカリキュラムを調べた」という具体的な対策行動であることが明らかになった。