2024 年 34 巻 p. 229-236
本研究ではまず,なぜ日本語学校の留学生は日本を留学先として選択したのか,個人的選択要因や,個人的属性要因の側面から検証した。次にいかに留学生は定着しているのかに関して,コロナに伴う要因の観点より検討を行った。分析結果から,渡日前の留学国の印象,大学の印象や,家庭の経済的状況によって,留学国決定に影響を与えていた一方で,渡日前の日本語能力は影響を及ぼしていないことが判明した。またコロナに伴う要因はいずれも留学生の定着・就労意志に影響を与えていないことがわかった。まず,家庭の経済的状況が貧困層であるものの優秀な留学生は日本を留学国として選択可能なように政府はより奨学金を充実させることが重要である。次に,政府は日本語学校入学後の留学生の学習・生活サポートにも目を向ける必要がある。