動物臨床医学
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犬の乳腺腫瘍の予後におよぼす卵巣子宮全摘出の影響
橋本 志津山村 穂積佐藤 常男金山 喜一酒井 健夫
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2003 年 12 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

一般臨床動物病院に来院した乳腺腫瘍罹患犬198症例を、乳腺腫瘍切除時に卵巣子宮全摘出術を同時に実施した症例と実施しなかった症例とに区分して、乳腺腫瘍の再手術の頻度、初回と2回目切除時の病理組織像が異なった頻度および切除後の生存率について検討した。乳腺腫瘍の再手術の頻度は、卵巣子宮全摘出術を同時に実施した症例(II群;21.2%)が、実施しなかった症例(I群;26.3%)と比較して低い傾向を示した。病理組織像が異なった頻度に関しては、卵巣子宮全摘出術を同時に実施した症例(II群;10.9%)は実施しなかった症例(I群;15.8%)と比較して低い傾向を示した。生存率は、卵巣子宮全摘出術を同時に実施した症例(II群)では実施しなかった症例(I群)に比べて有意(p<0.05)に高い値を示した。以上の結果から、乳腺腫瘍の切除と同時に卵巣子宮全摘出術を行うことは再手術率を低下させ、また術後に病理組織像の異なる乳腺腫瘍の発生する頻度を減少させ、高い生存率が得られることが示唆された。

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© 2003 動物臨床医学会
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