動物臨床医学
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心収縮不全病態の猫に対するピモベンダンの臨床効果
福島 隆治田中 綾浜部 理奈鈴木 周二才田 祐人末松 正弘末松 弘彰高橋 雅弘町田 登山根 義久
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2010 年 19 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

今回我々は,心筋収縮不全病態の猫5頭に対して,他剤を併用してピモベンダン(ベトメディン®:ベーリンガーインゲルハイム) を投与した際の心機能と臨床症状の変化を観察しその有効性を検討した。これらの猫に対して,ピモベンダン 0.18~0.38 mg/kg 1日2回を経口投与した。治療効果の判定は,投与開始から2週間後に実施した。ピモベンダン投与後に左心室内径短縮率,1回拍出量,心拍出量および収縮期血圧は有意に増加した。また,左心房・大動脈比ならびに拡張末期左心室内径は有意に低下した。さらに,投与前に認められた肺水腫,胸水および腹水はいずれも消退し,NYHAクラスは明らかに改善した。このことから, ピモベンダンが心筋収縮不全病態の猫に対して心筋収縮機能の向上,前負荷の軽減,さらにはQOLの改善をもたらすことが明らかとなった。

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© 2010 動物臨床医学会
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