日本健康教育学会誌
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実践報告
慢性疾患の子どもを支援するための中学生に対する改訂指導法の実施効果
―1型糖尿病のケースを用いて―
竹鼻 ゆかり佐藤 千史
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2013 年 21 巻 3 号 p. 225-235

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抄録
目的:本研究の目的は,研究者らが以前に作成した病気の子どもを理解し支援できるようになるための指導法を改訂し,その評価を行うことである.
方法:改訂の主たる点は,指導法の内容の精選,指導者の統一,対象の一般化,評価方法の簡素化,介入群・対照群における1カ月後の追跡調査の実施である.準実験研究デザインにより,公立中学校の2年生222名を対象とし,介入群には,授業の1週間前に調査を行った後,授業前日に1型糖尿病を簡単に説明したパンフレットを配布した.翌日に病気の理解を促す授業を行い,その直後と1ヵ月後に事前と同様の調査を行った.対照群には,授業を行わず介入群と同日に調査とパンフレットの配布を行い,すべての調査終了後に倫理的配慮として授業を行った.
結果:男子では「病気の理解」(p=0.001),「病気の支援」(p<0.001)において,女子では「病気の理解」(p=0.003)と「病気の支援」(p=0.016)「共感性」(p<0.001)において,事前より事後に有意に得点が上がっていた.また,一ヶ月後は男子の「病気の理解」(p=0.041),女子の「病気の支援」(p=0.047)において,事前より一カ月後に有意に得点が上がっていた.
結論:慢性疾患の子どもを支援するための指導法の改訂版は,公立の中学生に対して効果があり,1型糖尿病などに罹患している子どもを支援するための指導法として活用できる可能性が示唆された.
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© 2013 日本健康教育学会
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