動物臨床医学
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原著
犬の前部ぶどう膜炎における0.05% ジフルプレドナート乳濁点眼液と0.1%ベタメタゾン配合点眼薬の有効性に関する調査
印牧 信行市川 陽一朗木下 徹住吉 俊夫浦野 岩雄田中 一則藤野 和彦
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2012 年 21 巻 3 号 p. 103-108

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抄録
ジフルプレドナート(以下,DFBA)は,べタメタゾン(以下,BM)に匹敵する強力な抗炎症効果を示すプレドニゾロン誘導体である。今回,犬前部ぶどう膜炎における0.05%DFBA 乳濁点眼液と0.1%BM 配合点眼液の有効性に関する調査を実施した。前部ぶどう膜炎症例₅₁頭₅₁眼を用いた両点眼液の有効率は,DFBA で86.2%(25/29),BM で86.4%(19/22)であり,両点眼液に違いがなかった。臨床症状では,2週点眼の両点眼液は流涙,羞明,眼瞼痙攣,眼脂で改善がみられた。また,前部ぶどう膜炎の臨床所見である毛様充血と前房混濁でも,両点眼液で改善がみられた。 しかし,縮瞳,虹彩充血および虹彩の腫脹では,DFBA 点眼で改善されたが,BM点眼では改善されなかった。眼圧上昇はDFBA ではなかったが,BMでみられた。DFBA は,BMより虹彩への浸透性が高いことが示唆された。両点眼液の副作用はみられなかった。以上から,犬前部ぶどう膜炎におけるDFBA 点眼液は,BM点眼液に匹敵する効果があった。
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© 2012 動物臨床医学会
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