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本研究では、能登半島において粒径別に採取したエアロゾル試料中のニッケル(Ni)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)および鉛(Pb)に着目し、大気中濃度とその粒径分布、化学種の解析から、主に化石燃料などの燃焼過程で人為的に発生する微量金属元素の起源と大気中での挙動、その季節変化について詳細に理解することを目指した。 Zn・PbとNi・Vでは大気中質量濃度の粒径分布と化学種の傾向に違いがみられ、これらはそれぞれの元素の揮発性の違いから引き起こされる粒子形成過程の違いを示唆していると考えられる。 また、試料中の金属元素の地殻に対する濃縮係数、元素相関比、空気塊の輸送経路の違いから、夏の試料では、主に船舶由来と推定される重油燃焼起源物質の寄与が大きく、冬の試料では石炭など他の燃料燃焼を起源とする物質の寄与大きかったことが示唆された。