抄録
全国5 箇所のペットショップの4~9週齢の臨床上健康な犬,合計155 頭の犬コロナウイルスⅠ型(CCoV- Ⅰ),Ⅱ型(CCoV- Ⅱ)および犬パルボウイルス2型(CPV-2)の感染状況をRT-PCR 又はPCRを用いて検討したところ,それぞれ84頭(54.2%),39頭(25.2%),4頭(2.6%)の直腸スワブからこれらウイルス遺伝子が検出された。この結果と我々が過去に同じ測定法で検討した1 歳未満の下痢症例での結果(Soma et al 2011)を比較したところ,CCoV- Ⅰの検出率は両者に有意差はなかったが(p>0.05),CCoV- ⅡとCPV-2 については今回の健常例が下痢症例に比べて有意に低い検出率であった(それぞれ47.5% p=0.0005,43.8% p<0.0001)。以上の結果からこれら3種のウイルス,特にCCoV-I とIIは少なからずショップ内に潜在しており,その中でCCoV- ⅡとCPV-2は重要な下痢因子であることが示唆された。