動物臨床医学
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症例報告
寝たきり状態にある褥瘡発生高齢犬2事例の体圧分散の評価
小林 真歩小泉 紫織左向 敏紀松原 孝子
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キーワード: 体圧, 高齢犬, 褥瘡
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2014 年 23 巻 3 号 p. 124-128

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抄録
本研究の目的は褥瘡発生犬における体圧高値部位を把握し,さらに,褥瘡発生に圧以外にどのような因子が関わっているかを調査することである。寝たきり状態で褥瘡を発生している高齢の柴犬2事例を対象とし,臥床状態での体圧測定を行った。2事例における接触面積は,先行研究において測定した健常犬の接触面積と比較して範囲は非常に狭く,また測定した体圧高値部位と実際の褥瘡部位は必ずしも一致していなかった。これらは,関節拘縮や削痩状態によって身体の支持面積が小さくなり,骨突出部位により高い圧力が加わる状態であったこと,姿勢の変化によってバランスが不安定な状態となった身体に傾きが生じ,骨突出のない部位にも褥瘡が発生したものと考えられた。寝たきりの高齢犬に対しては,関節拘縮を予防し,姿勢や関節拘縮の状態に合わせて体圧分散用具を使用することが必要であると思われた。
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