2014 年 23 巻 4 号 p. 151-155
5 ‒アミノレブリン酸(ALA)は,動植物の生体内に含まれる天然アミノ酸であり,生体内で発色物質であるプロトポルフィリンIX(PPIX)に代謝される。本研究は,腫瘍犬に対してALAを経口投与し,PPIX血中濃度と病理組織検査所見との関連性を検討し,悪性腫瘍の有無を判定する上での有用性について評価した。腫瘍を有する犬13頭(悪性腫瘍群8頭,非悪性腫瘍群5頭)にALA 30 mg/kgを経口投与し,経時的に採血を実施し,PPIXの血中濃度を測定した。PPIX血中濃度は,両群において有意差は検出されなかったものの,悪性腫瘍群では,投与後3時間で投与直前と比較して有意に高値を示し,5.5 pmol/l以上では,感度および特異度が75.0%および80.0%であった。以上より,ALAは小動物獣医療における腫瘍マーカーになり得る可能性が示唆された。