2016 年 25 巻 4 号 p. 143-147
元気食欲の低下および右鼠径部の紫斑を呈した2歳齢の雄犬が紹介来院した。各種検査より特発性再生不良性貧血と診断し,ステロイドパルス療法,顆粒球コロニー刺激因子,ミコフェノール酸モフェチルによる治療を行った。第20病日,血小板数の軽度増加および好中球数の増加が認められたが,PCVは11%と急激に低下し,球状赤血球が多数出現していたことから,免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の併発と考えた。IMHAの治療のためにヒト免疫グロブリン製剤を投与し,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)投薬中にIMHAが発症したため,アザチオプリンに変更したところPCV,好中球数,血小板数ともに正常値になり,現在も良好に推移している。