動物臨床医学
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症例報告
猫の甲状腺癌の2例
岩本 依子葛西 孝裕
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キーワード: , 病理組織検査, 甲状腺癌
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2017 年 26 巻 2 号 p. 76-80

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抄録

16歳8カ月齢と15歳10カ月齢の雑種猫の頸部腫瘍を外科的に摘出した。病理組織学診断にて,甲状腺癌と診断された。1例は血管浸潤と被膜外浸潤も認められたが,2例とも摘出後に再発と転移は認められず,術後1年以上生存した。欧米では猫の甲状腺癌は非常にまれで,甲状腺腫瘍の2%程度と報告されており,その場合は再発および肺やリンパ節への転移が高率に起こり,予後不良と言われている。これに対して,日本では欧米と甲状腺癌の診断基準の差や,発生する腫瘍の組織型差により臨床経過が良い可能性があると示唆された。

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