動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
症例報告
防水スプレー吸入が原因と思われる急性呼吸器傷害を呈した猫の1例
佐橋 悠北野 優香里神津 善広日笠 喜朗
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 28 巻 4 号 p. 140-143

詳細
抄録

症例は雑種猫,7歳,避妊雌で呼吸が苦しそうであることを主訴に来院した。飼い主が帰宅した際,呼吸が苦しそうであり,流涎を呈しているのを発見した。飼い主は外出前に防水スプレーを屋内で噴霧したとのことであった。胸部X線検査では肺野の不透過性亢進および気管支肺胞パターンが認められた。稟告,症状および画像所見から防水スプレーガス吸引による急性肺傷害と診断し,入院治療を開始した。酸素室内にて静脈点滴を行い,エンフロキサシン 5 mg/kg,SID,アンピシリン20 mg/kg BID,マロピタント 1 mg/kg, SIDおよびプレドニゾロン 1 mg/kg SIDを投与した。第4病日には流涎も止まり,食欲も回復した。第17病日には画像所見も改善した。本症例は,防水スプレーガスの直接吸引だけではなく,防水スプレーガス含有の熱分解産物が関与し,悪化した可能性がある。防水スプレー使用の際は,スプレーガスの直接吸入だけではなく, 取り扱う環境にも注意を引き払うべきである。

著者関連情報
© 2019 動物臨床医学
前の記事 次の記事
feedback
Top