動物臨床医学
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原著
ヒアルロニダーゼ活性の高感度測定方法の検討と犬尿中ヒアルロニダーゼの特性解析
釜田 悟高橋 響宮内 聡嘉屋 元博宮原 和郎石井 利明
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2020 年 29 巻 4 号 p. 146-151

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抄録

今回,犬尿中ヒアルロニダーゼ(犬u-HAase)の椎間板ヘルニア治療薬への応用研究として,その高感度活性測定方法の検討と特性解析を行った。蛍光標識ヒアルロン酸(FAHA)を用いた方法は,HAaseの測定感度が従来方法に比べ30倍以上高く,1.0 IU/ml以下の測定ができる高感度の測定方法である。犬u-HAaseはクロマトグラフからエンド型のグリコシダーゼと判断され,分子量は39,000と推定された。その活性は,pH3.6以上では基質のpHの上昇に伴い低下,pH5.0以上では消失し,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸A,D,Cの順で分解し,犬粉末髄核からプロテオグリカンを有意に遊出させた。犬u-HAaseは,人Hyal-1と類似した性質を有し,犬尿中のHyal-1に由来した低分子酵素と推測される。今回,犬u-HAaseは犬髄核に対して高い融解活性を示したことから,今後,犬の髄核融解療法への適用が大いに期待できる。

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