DOHaD研究
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免疫系分子が大脳皮質形成に果たす役割と精神疾患におけるその異常
佐々木 哲也
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2023 年 11 巻 2 号 p. 126-134

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抄録
精神・神経系疾患の病態生理において免疫系が重要な役割を果たす知見が集まっている。ヘルパーT細胞サブセットであるTh17細胞による免疫反応は、自閉スペクトラム症(ASD)、統合失調症、うつ病などの精神疾患の病態生理に関与することが多くの臨床的研究から示されている。これらの疾患では中枢神経系の構造異常がみられるが、Th17細胞とIL-Aの寄与については不明のままである。Th17細胞はIL-6とTGF-βの共刺激によってナイーブT細胞から分化誘導される。私たちの研究室では、血清中のIL-17A濃度が恒常的高値を示す遺伝子改変動物RORγtトランスジェニックマウスの脳の解析を行い、海馬歯状回でミクログリア活性状態の低下とその密度の減少を見出した。IL-17Aの継続的高値は、免疫システムの抑制系を刺激している可能性がある。Th17細胞による免疫反応は当該個体の脳に直接影響を与えるだけでなく、次世代への影響が示されている。すなわち妊娠時のウイルス感染により母体内で活性化したTh17細胞が放出するIL-17Aが胎盤を通過して胎仔脳の形態形成に影響を与え、ASDや統合失調症の病態形成に関わると考えられている。妊娠中のウイルス感染が仔の自閉スペクトラム症(ASD)発症確率を上昇させることが疫学調査と動物モデルにおいて報告されている。しかし、IL-17Aが胎仔脳のどの細胞種に作用しASD病態が形成されるのかは十分に理解が進んでいない。IL-17Aが発生中の脳にどのような影響を与えるかを直接検討するため、胚性14日のマウス胎仔側脳室にIL-17Aを投与したところ、帯状回皮質の脳室面付近にCD68陽性の活性化ミクログリアの割合が増加していることを見出した。これらの研究結果は、精神疾患の発現・病態における免疫分子、特にIL-17Aの役割を理解する重要な手がかりをもたらすと考えられる。
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© 2023 一般社団法人日本DOHaD学会
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