DOHaD研究
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Early life stressおよび発達早期における過剰量のストレスホルモンが雄性生殖器系におよぼす影響
宮宗 秀伸 横田 理
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2024 年 12 巻 1 号 p. 30-38

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抄録
Early life stress (ELS)とは、発達早期に児が受けるストレスのことを指す。近年筆者らは、児に健康影響をおよぼす可能性のある発達早期の環境要因としてELSに着目し、雄性生殖器系を対象として解析を行ってきた。ELSを誘導する実験モデルとして知られる新生児期母児分離(Neonatal Maternal Separation; NMS)モデルと、新生児期におけるコルチコステロンの投与モデルを用いた評価が行われた。これらのモデルマウスの評価によって、ELSおよびそれによって慢性的にあるいは過剰に分泌されたコルチゾール/コルチコステロンがセルトリ細胞増殖の早期停止を促すこと、このようなセルトリ細胞の早期増殖停止にはサイクリン依存性キナーゼインヒビターとして知られるp27の発現亢進が関連すること、結果生じるセルトリ細胞数の減少は思春期以降のライフステージにおいても回復せず、成熟精子数の産生量の減少を始めとする長期的な雄性生殖器系の機能障害と関連することが示唆された。
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© 2024 一般社団法人日本DOHaD学会
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