日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
各種鉱さいの可溶率の向上
安藤 淳平堀尾 幸子小山 泰宏
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1987 年 58 巻 2 号 p. 166-171

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抄録

シリコマンガン鉱さい, フェロニッケル鉱さい, 製鉄高炉さいなど, ケイ酸やアルミナが多すぎてSA溶解率が低い鉱さいは, 製鋼転炉さいのようにケイ酸やアルミナが少なく塩基性の強い鉱さいと配合して融解水砕すれば, SA溶解率を100%近くまで高めることができる. 2. 多くの鉱さいはガラス質を主成分としており, 今回試験したガラス質の試料に関しては, HC溶解率はOR_1比と, SA溶解率はOR_3比とほぼ対応しており, 比の値が3.1以上では溶解率はすべての90%以上であり, またほとんどすべての場合3.0以下では70%以下であった. 3. ガラス質鉱さいのSA溶解率は, 塩基度CaO+0.85MgO+0.65(FeO+MnO)によっても推定することが可能で, 塩基度が40では35〜55%, 45では60〜80%, 50では95%以上である. 4. 結晶性鉱物では, 石灰分の多いβ-2CaO・SiO_2や3CaO・MgO・2SiO_2はHCにもSAにも90%程度以上溶けたが, 石灰分の少ない2MgO・SiO_2やCaO・MgO・2SiO_2はHCに50%以下,SAに10%以下しか溶けなかった. 2CaO・MgO・2SiO_2・CaO・MgO・SiO_2はこれらの中間的な溶解性を示した.

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© 1987 一般社団法人日本土壌肥料学会
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