日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
58 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1987 年 58 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1987 年 58 巻 2 号 p. Cover2-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1987 年 58 巻 2 号 p. App1-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 大橋 恭一, 岡本 将宏
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    1976年から1982年にかけておがくず入り牛ふん厩肥を毎作0, 2, 4t/10a連用することによって土壌中の可給態リン酸含有量に差異を生じた厩肥連用畑を用い, 野菜に対する施用リン酸の肥効を調査した. すなわち,本試験では1982年に上記の各試験区をリン酸施用区とリン酸無施用区に2分し, 厩肥を連用した条件下でダイコン, ハクサイ, コマツナ, キャベツを順次栽培(1982〜1984年)した. 野菜の収量とリン含有量および土壌中の可給態リン酸含有量との関係を調べ, 各野菜に対するリン酸施肥の効果を検討した. 1. ダイコンに対する厩肥の施用効果は地上部では明確に認められたが, 地下部では一定の傾向は認められなかった. また地上部・地下部のリン含有率は厩肥施用による変動は少なかった. したがって本試験土壌はいずれの処理区ともダイコンの生育にとって必要とする以上のリン酸肥沃度をもっていたものと考えられた. 2. ハクサイに対する施肥リン酸の肥効は厩肥無施用区においてのみ認められ, 厩肥施用区においては一定の傾向は認められなかった. また厩肥0t・リン酸無施用区におけるハクサイ収量は対照区(厩肥0t・リン酸施用)の67%であった. ハクサイの収量を対照区と同等以上に高めるためには, 外葉部・結球部のリン酸濃度を0.67,0.75%以上に上げる必要があり, このためには可給態リン酸含量を50mg/100g乾土程度に保つ必要がある. 3. コマツナの厩肥0t・リン酸無施用区における収量は対照区の81%であった. 同区では収穫時のリン含有率他の処理区と似かよっていたが, 生育途中のリン含有率は0.38%と低かった. したがって同区の可給態リン酸レベル(43.5mg/100 g乾土)では生育初期にリン酸の供給不足が生じたものと考えられた. 4. キャベツの厩肥は0t・リン酸無施用区における収量は対照区の72%であり, また外葉部, 結球部のリン含有率はそれぞれ0.24, 0.27%で対照区に比べて低下していた. 同区に対する施肥リン酸の肥効は顕著であり, したがってキャベツの栽培では50mg/100g乾土以上の可給態リン酸が必要と考えた. 5. ダイコン, ハクサイ, コマツナに対するリン酸施用は作物体中のマンガン, 亜鉛含有率を低下させる傾向を示したが, 収量に対する影響は認められなかった.
  • 大橋 恭一
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 144-146
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    厩肥連用圃場におけるリン酸の集積状況と有機態リン酸の無機化に働くフォスフォモノエステラーゼ活性との関係を調査し, 上記酵素の活性を高める要因について検討した. その結果を要約すると下記のとおりである. 1. 厩肥連用圃場では厩肥の施用量の増加に伴ってトリオーグリン酸, 無機態リン酸, 有機態リン酸および全リン酸が増加した. 2. 厩肥連用圃場の各種形態別リン酸含量(有機態リン酸, 無機態リン酸等)とフォスフォモノエステラーゼ活性との間には高い正の相関がみられた. しかし, 過リン酸石灰の施用によるトリオーグリン酸含量の増加は必ずしもフォスフォモノエステラーゼ活性の増大には結びつかないことが確かめられた. 3. これらの結果から土壌中に存在する厩肥中の有機態リン酸がフォスフォモノエステラーゼ活性の増大に関与し, 銅酵素の発現が有機資材からのリン酸の有効下に重要な働きを演じているものと考えられる.
  • 水野 直治
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    北海道の水稲についての登熟籾, 発育停止籾および不稔籾の籾殻中SiO_2含量と籾殻重及び玄米千粒重の関係を明らかにする目的で検討し, つぎのような結果が得られた. 1. 玄米の千粒重は大きさに支配されるが, この籾殻の尾吉舎は従来明らかにされている炭水化物のほかにSiO_2含量が大きな役割をはたしている. また籾殻の大きさが増大するにともなって,SiO_2%も増大する. 2. 粗玄米千粒重19gの籾殻はSiO_2 ; 10%, 0.35mg/粒でよいが, 22gの粗玄米千粒重では, SiO_2 ; 200%, 85mg/粒も必要となってくる. したがって粗玄米千粒重22gの良質米を生産するには, 収穫期の茎葉中SiO_2を10〜12%mp, 水稲にする必要がある. 3. 乳白米または発育停止の籾殻のように, 登熟不良の籾殻中のSiO_2mg/粒はその籾殻重の割に低い値を示した. また, 乳白米の発生率は低SiO_2含有率の水稲で高くなる傾向をしめした. 4. 登熟籾の籾殻重が約4.2mg/粒以下の条件では, 籾殻重の順位は, 登熟籾>発育停止籾>不稔籾となった. しかしながら, SiO_2含有の順位は, 登熟籾≧不稔籾>発育停止籾となった.
  • 高木 浩, 有田 重明, マテオ ルン・ジー
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    オオムギ地上部からのメタノール抽出物の塩基性画分について, TLC(n-ブタノール:酢酸:水=4 :1 : 2)を行うと, いくつかのエールリッヒ試薬に反応するスポットが検出された. 亜鉛欠除区から得られたスポット1は標準トリプタミンと同じRf値を示した. TLCにより精製されたスポット1は, 紫外部吸収スペクトル法, 電気泳動法, GC-MSによりトリプタミンの定量は, ガスクロマトグラムのピーク面積から算出する方法で行った. 亜鉛欠乏の症状が進んだオオムギの地上部には, 大量のトリプタミンが存在した. (11.3μg/新鮮重g). 対照区では0.8μg/新鮮重gであった. 明らかな欠乏症状が認められた窒素, リン, カリウム欠除区のトリプタミン含量は, それぞれ, 2.1, 2.8, 1.7で, 対照区に比較して高い値が得られた. カルシウム, マグネシウム, 鉄欠除区では, それぞれ, 0.5, 0.6, 0.5で対照区よりも低い値であった. イオウ欠除区のトリプタミン含量は, 5.7と各種要素欠除区のうちでは, 亜鉛欠除区についで高い値を示した. なお, NK_4-N区のトリプタミン含量も4.5と高い値であった. (単位はそれぞれμg/新鮮重g).
  • 渡部 良朋, 神津 茂子, 吉田 冨男
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    接種ダイズ根粒菌のダイズ根圏での挙動を標識根粒菌を使い追跡し, 接種菌による根粒形成率と根圏土壌中での接種菌数の推移との関連について考察した. さらにアセチレン還元法を用い空中窒素固定能の推移を測定し, 接種根粒菌の根圏での挙動と窒素固定能・固定量の関連について考察した. ダイズ(品種エンレイ)を黒ボク土(水田から採取), あるいは淡色黒ボク土(畑より採取)を入れた1/10,000aポットで栽培し, 接種根粒菌として標識根粒菌(A-1016str^+)を使用した. 根粒菌の接種方法としては, 培養菌体を直接か, 担体としてピートモスを用いた場合と, 種子直下への局所接種か土壌全体混合接種の場合の組合せで行った. ダイズの生育期間中の根粒重, 接種菌の根粒形成率, 接種根粒菌の推移, アセチレン還元能の推移を測定し, 以下の結果を得た. 1. 新鮮根粒重は, 淡色黒ボク土で7週から11週目にかけて著しく増加し, 黒ボク土では増加の時期が遅れた. 全般的に局所接種区のほうが高い値で推移した. 接種菌による根粒形成率(根粒占有率)は全般的に淡色黒ボク土で低く, 黒ボク土で高い値を示した. 2. 黒ボク土における接種菌数は, ピートモス接種源局所接種区で3週目から徐々に菌数が増加した以外は, 初期から高い値で推移した. 淡色黒ボク土では, どの処理区とも3週目の菌数がきわめて低く, その後ピートモス接種源全体接種区を除いて7週目から11週目まで徐々に増加の傾向を示した. この菌数推移レベルと接種菌による根粒形成率との間には密接な関連, すなわち高い菌数の場合, 根粒形成率も増加することが認められた. 3. アセチレン還元能の測定では, 淡色黒ボク土の活性は早くからみられ, 処理間の差はなく, いずれの区も9週目がピークとなった. 黒ボク土では, 局所接種区のみ高い値を示し, 11週目にピークがあった. アセチレン還元量から固定窒素量を算出した場合, 理論値3:1では黒ボク土では差し引き法に比較して過小評価される可能性が示唆された.
  • 安藤 淳平, 堀尾 幸子, 小山 泰宏
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    シリコマンガン鉱さい, フェロニッケル鉱さい, 製鉄高炉さいなど, ケイ酸やアルミナが多すぎてSA溶解率が低い鉱さいは, 製鋼転炉さいのようにケイ酸やアルミナが少なく塩基性の強い鉱さいと配合して融解水砕すれば, SA溶解率を100%近くまで高めることができる. 2. 多くの鉱さいはガラス質を主成分としており, 今回試験したガラス質の試料に関しては, HC溶解率はOR_1比と, SA溶解率はOR_3比とほぼ対応しており, 比の値が3.1以上では溶解率はすべての90%以上であり, またほとんどすべての場合3.0以下では70%以下であった. 3. ガラス質鉱さいのSA溶解率は, 塩基度CaO+0.85MgO+0.65(FeO+MnO)によっても推定することが可能で, 塩基度が40では35〜55%, 45では60〜80%, 50では95%以上である. 4. 結晶性鉱物では, 石灰分の多いβ-2CaO・SiO_2や3CaO・MgO・2SiO_2はHCにもSAにも90%程度以上溶けたが, 石灰分の少ない2MgO・SiO_2やCaO・MgO・2SiO_2はHCに50%以下,SAに10%以下しか溶けなかった. 2CaO・MgO・2SiO_2・CaO・MgO・SiO_2はこれらの中間的な溶解性を示した.
  • Yu Tian-ren
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 171-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 日野 和裕, 平野 隆生, 高橋 英一
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 172-179
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    土壌の重金属汚染の問題では最もよく現れる銅と亜鉛の二つの重金属について, これらが共存するときの毒性の相互作用を, 水稲の稚苗を使用した水耕試験と収穫期までの土耕試験で検討した. 水耕では, 硫酸銅あるいは硫酸亜鉛それぞれ単用では対照区のおおよそ90%から10%の相対値を示す培養液中の濃度範囲のなかで, 銅・亜鉛それぞれ無添加区を含めて5水準(銅は0, 2, 3, 5, 8μM, 亜鉛は0, 125, 250, 500, 1000μM)を選んだ. これらの水準の全組合せ25試験区の培養液で, は種して9日後の稚苗を, 週に一度培養液を交換して5週間栽培し, 乾物重および最後の1週間の培養液の吸収量を求めて検討した. 土耕では水耕と同様にして,銅・亜鉛それぞれ4水準(銅は0, 100, 200, 300ppm/風乾土, 亜鉛は0, 200, 400, 600ppm/風乾土)を選びそれらの全組合せ16試験区で, 収穫期まで栽培を行った途中2回の生育調査と収穫のときの最終調査で得られた結果について検討を加えた. 1. 水耕と土耕で得られた結果について, 実験計画法の2要因配置分散分析を行ったところ, 土耕試験の最終調査のデータを除いて, すべて銅と亜鉛の交互作用効果が1%以下の危険率で有意であることが認められた. 2. 水耕と土耕で得られた結果を, それぞれ銅あるいは亜鉛を基準として, 縦軸に対照を100とした各試験区の相対値, 横軸に基準とした元素の対数で表示した濃度を取って図示すると, 以下に示すような同様な傾向がみられた.すなわち, 水耕で5本, 土耕で4本の応答曲線が示す形は, 横軸の銅あるいは亜鉛濃度が低いときには, 右下がりにお互いに平衡であるが, 横軸の濃度が高くなると1点に収束するように集まってきた. 3. 2で述べた形が示すものが, 1で述べた結果と対応し, 認められた交互作用効果は, きっ抗作用であると考えられた. また, 土耕試験の最終調査の結果は相加作用であると考えられた. 4. 水耕試験,土耕試験においてそれぞれ銅,亜鉛とも低濃度の組合せのデータから, それぞれ単独では生育障害を引き起こすことはないような低濃度の組合せでは, 少なくとも相乗作用ではないことが推察された.
  • 安田 環, 藤井 義晴, 渋谷 知子
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    リン吸収効率の高い植物を選抜したり, リン吸収量の多い植物を還元して, リン資源のリサイクルをはかることを目的として, 緑肥作物や雑草計16種について, リン用量試験を行うとともに, リン施用に対する応答の異なる2種類の雑草を用いて, リンの吸収パターンを反応速度論的に解析した. 1. リン無施用区の生育は, 概して種子の大きい種が優った. 2. 少しの施用リンで生成が著しくよくなる種と, 多くのリンを与えてもあまり生育がよくならない種があった. 3. 3μMのリン培養液では, メヒシバはリン濃度に応答して根も伸び, リンを吸収したが, ヒメムカシヨモギでは根も伸びず, リンも吸収しなかった. 4. メヒシバとヒメムカシヨモギについて吸収速度パラメーターを求めたところ, 吸収最大速度I_ < max >およびKmはヒメムカシヨモギに比べメヒシバで著しく大きかった. 5.I_ < max > およびKmを測定することにより, リン条件に対する植物のリン吸収特性が把握できる.
  • 岩崎 貢三, 西村 和雄, 高橋 英一
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    1. 腐植質火山灰土壌にCu, Znを塩化物の形で風乾土1kg当たり0.001, 0.01, 0.1, 1mmolになるように添加し, イタリアンライグラス(IR), レッドクローバー(RC)を播種生育させ, 2回の刈り取りを行い, 地上部のCu, Zn含量を調べた. Cu添加区では, 2回目に刈り取った植物体中のCu含量は1回目より低下したことから, Cu可給度の低下が示唆された. この傾向はIRよりRCにおいて顕著であり, 植物間差が認められた. Zn添加区では, Cu添加区で観察されたようなZn含量の低下は認められなかった. 栽培後の土俵から腐植酸, フルボ酸画分を抽出しCu, Zn含量を調べた結果, Cuは土壌中全含量の20%以上が腐植酸画分に存在したのに対し, Znは約1%であった. 2. 土耕試験に用いた土壌に吸着処理を行ない, それからCuの吸着した腐植酸(CuHA)を抽出し, それを用いて水耕試験を行った. 0.5 ppmのCuを含むCuHA, CuFDTA, CuCl_2水溶液を用いた水耕試験の結果, IR, RCのCu含量はCuCl_2 区≫CuHA 区> CuEDTAの順となり, 土壌有機物または合成キレート剤の存在によって植物におるCu吸収量は低下した. またRCでは, Cuの供給形態によって根部から地上部へのCuの移行度に差が認められた. 3. 水耕試験の結果から, 腐植酸に吸着されたCuのうち, それから解離したCu < 2+ >が植物によって吸収されると推察された. したがって, 土耕試験で2回目に刈り取った植物体のCu含量が低下したのは, 添加したCuが栽培期間中は土壌有機物によって吸着され, 植物に対する可給度が低下したためと考えられた. また, 1,2の結果から, RC地上部Cu含量はIRよりも根圏のCu存在形態に影響されやすいと考えられた.
  • 岩崎 貢三, 西村 和雄, 高橋 英一
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 193-198
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    CuEDTA, CuNTA水溶液からの植物によるCu吸収形態について調べるために水耕試験を行った. 実験に先立ち, 水溶液中に存在するリガンドと結合していないCu濃度を条件定数を用いて算出した. 全Cu濃度が10 < -4 > Mで一定のもとで, リガンド濃度を10 < -3.5 >, 10 < -4.0 >, 10 < -4.05 >, 10 < -4.1 >, 10 < -4.3 > Mとしてリガンドと結合していないCu濃度を変化させたCuEDTA, CuNTA水溶液からのIR, RCによるCu吸収率を調べた結果,水耕液中のリガンドと結合していないCu濃度が高くなるにつれて植物地上部, 根部CU含量も増加した. したがって, CuEDTA, CuNTA水溶液からのCu吸収形態は, リガンドから解離したCuが大部分であると考えられた. 一方, CuとEDTAまたはNTAがともに10 < -4 > M存在するときに, 水溶液のpHを3.5と5.5に調整することによってリガンドと結合していないCu濃度を変化させた水耕液を用いた吸収実験では, pH 3.5の場合のほうがリガンドと結合していないCu濃度は高くなるにもかかわらず, 根部Cu含量はpH 5.5の場合のほうが高くなった. その理由も明らかにするために, pHが異なっても水溶液中のリガンドと結合していない濃度が10μMに保たれる水溶液(CuCl_2 10 < -4 > M, FDTAまたはNTA 10 < -4.05 > M)でそのpHを4から8に変化させ吸収実験を行った. その結果, 水耕液pH自体が, 根に吸着して存在すCu輸送能に影響を及ぼしたためと考えられた.
  • 山田 秀和, 宮田 佳久, 服部 共生
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    土壌腐食(腐植酸, フルボ酸)の金属錯化用量の定量法を提案した. この方法は,腐植溶液中ヘクロラニール酸銅(クロラニール酸が銅イオンと反応してできる比較的難溶性の化合物)を添加して, 腐植物質の錯形成力によって腐食銅錯体を形成させてクロラニール酸銅を溶解させたのち未反応のクロラニール酸銅をろ別し, ろ液中の腐植-銅錯体の銅を原子吸光法により定量して錯化容量を求めるものである. EDTAをモデル物質にして定量操作の基礎的条件を検討したのち, 腐食物質の錯化容量の定量条件を確立した. その結果, 土壌から抽出, 精製した腐植酸, フルボ酸の水溶液にクロラニール酸銅10 mgと0.2MのpH緩衝液2.5 mlを加え水で全量を10 mlとし, 25℃で2時間振とうしたのちろ過し, ろ液中の銅量を原子吸光法により定量する方法で腐食の金属錯化容量が, 銅当量として1〜4μmolの範囲で良好な精度で簡便に定量できることが認められた. また本報を各種の錯化剤に応用した結果, 本法によれば条件安定度定数(対数値)が約8以上の錯化力を定量できることが認められた.
  • 山田 秀和, 宮田 佳久, 服部 共生
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    既報で提案した土壌腐食の金属錯化容量の定量法を応用して, 土壌腐食の錯化容量のpH依存性を検討した. さらに, コロイド滴定法を利用して腐食の主として酸性官能基であるカルボキシル基とフェノール性水酸基の解離に起因する負荷電量のpH依存性についてもあわせて検討を行った. その結果, 以下の知見を得た. 1. 腐植酸, フルボ酸の金属錯化容量は, pH 3から7にかけてpHの上昇とともに増大した. この金属錯化容量の増大傾向は, コロイド滴定法から求めた腐植酸, フルボ酸のカルボキシル基に由来する解離当量の増大傾向とよく一致した. これらのことから, カルボキシル基が腐植酸, フルボ酸の錯化部位であると推定した. 2. 腐植後, フルボ酸の金属錯化容量は, pH 7以上で低下する傾向を示した. 高pHでは銅がCuOH^+やCu(OH)_2を生成する副反応が加わるため, 腐植-銅錯体の条件安定度定数が低下することが原因しているものと考えられた. 3. pH 7以上で低下傾向を示す腐植酸, フルボ酸の金属錯化容量も, pHが9〜10以上になることがわずかに上昇する傾向がみられた. この傾向は芳香環構造の発達していると考えられる腐植化度の高い腐植酸で顕著に認められた. またこの傾向は腐植酸のコロイド滴定曲線のpH 9〜10以上でみられるフェノール性水酸基に由来する解離当量の増大ともよく対応した. これらのことからpH 9〜10以上では,フェノール性水酸基が錯形成に関与している物と推定した.
  • 波多野 隆介, 佐久間 敏雄, 岡島 秀夫
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    畑作物に対する重粘性土壌の水分供給様式を明らかにするために, この土壌の形態的特徴である粗大な土壌構造と粒団間粗孔隙が根はりに及ぼす影響を調査した. 得られた結果を要約すれば, 以下のとおりである. 1) 重粘性土壌の有効水分量は極めて少なく, 作物はその不足分を下層停滞水により補っていると考える. 2) 粗粒団を含む下層土では根はりに対して一部の粒団間粗孔隙が強く関与しており, 特に連続した垂直方向の粗孔隙の底部にある水平方向の粗孔隙は根はりを見かけ上均一化する効果も示した. 3) 重粘性土壌の垂直方向の粗団間粗孔隙は透水性不良な土壌構造をして水分を輸送し, 粗孔隙底部には水が集積しやすい.このことを考慮すると, 下層の根はこの集積水も利用できる可能性が高いと思われる.
  • 藤井 弘志, 安達 忠弘, 桃谷 英, 鈴木 武, 大沼 彪, 阿部 吉克, 今野 周, 荒垣 憲一
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    1. 本試験で得られたダイズの平均収量は, 山形で4.37t/ha, 新庄で5.19t/haで, 両試験地とも, 4t/ha以上の多収であった. 2. 収量は1m^2当たりの着莢数と密接な関係が認められる.さらに,着莢数は次のように示すことができる. 着莢数=総節数×有効節数割合×1節莢数 その中で, 総節数は主に乾物生産量によって決定される. 一方, 有効節数割合は, 1節当たりの全糖集積量が多いほど高まる傾向にあることから, 着莢数率は光合成産物の供給量と密接な関係があることが考えられる. 3. 着莢数に及ぼす総節数と有効節数割合の規制の程度が, 収量レベルによっても異なる. 4t/haのダイズは, 主に総節数の向上で達成可能である. それに対して, 5t/haのダイズは, 総節数と有効節数割合の向上が必要充分条件である. 4. 全糖濃度は,着莢効率の高い新庄のダイズで高く, しかも開花期から幼莢期にかけての全糖集積量の増加が著しかった. 部位別では, 葉柄における全糖濃度が, 他の部位に比べて著しく高く, 光合成産物の中間的プ-ルとしての役割を果たしていると考えられる. 5. 幼莢期以降の窒素集積量子実重の相関が高く, 子実生産には, 生育後半まで窒素の供給が重要であると考えられる.
  • 福徳 康雄, 吉田 端樹, 池田 元輝, 山田 芳雄
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 222-225
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 清水 武, 木村 良仁
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 226-229
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 本間 美文, 大桃 洋一郎
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 230-232
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 阿江 教治, 遅沢 省子, 久保田 徹
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 広木 幹也, 久保井 徹
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 237-239
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 吉浦 昭二, 矢野 輝人, 北崎 佳範
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 240-242
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 井田 明, 氏家 勉, 小谷 晃, 東尾 久雄
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 243-246
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 越野 正義
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 247-251
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 米山 忠克
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 252-268
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 松崎 敏英
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 269-274
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • T. MATSUI
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 275-276
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • T. ASAMI
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 276-277
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • Y. YAMAMOTO
    原稿種別: 本文
    1987 年 58 巻 2 号 p. 277-278
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1987 年 58 巻 2 号 p. 279-282
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1987 年 58 巻 2 号 p. App2-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1987 年 58 巻 2 号 p. Cover3-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 原稿種別: 表紙
    1987 年 58 巻 2 号 p. Cover4-
    発行日: 1987/04/05
    公開日: 2017/06/28
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