チャ立枯症の発生した株元土壌(被害株土壌)の特性を明らかにするため、静岡県西部において、発生率の異なる四つの症状園を選び、健全株の株元土壌(健全株土壌)と対比させて、その理化学的特性を調べた。1)被害株土壌は健全株土壌に比べて気相率が低く、また発生率の高い甚園では、砂含量が高く、粘土含量は低いなどの傾向がみられた。さらに土壌水分のなかで、重量流去水の比率が高いなど、被害株土壌の土壌水分に関する物理性の不良が認められた。2)被害株土壌は健全株土壌に比べてECが低かった。また土壌の塩基養分保持において、寄与する交換基CECpを比較すると、健全株土壌>被害株土壌、軽園>甚園の関係がみられ、とくに甚園の被害株土壌は肥料成分の欠乏しやすいことが認められた。3)主要な粘土鉱物としてイライト、アルミニウム-バーミキュライト(クロライト)が同定された。被害株土壌はイライトに比べてより風化が進み、塩基養分保持力の劣るアルミニウム-バーミキュライトの比率が高かった。CECp含有率とアルミニウム-バーミキュライトの比率間にr=-0.71と負の相関が認められた。4)発生率の高い甚園の土壌の酸素消費は著しく多かった。これらの園では、過湿状態になった場合、著しい酸素不足をきたすと考えられた。