北海道の大規模畑作地帯では7月下旬から8月上旬に共同でコムギが収穫されるため,適期収穫のために衛星画像のNormalized Difference Vegetation Index(NDVI)から穂水分を広域評価する試みが行われてきた.しかしこの方法は大気補正されていない画像を用いるため,撮影日ごとに穂水分実測や回帰式の作成が必要である.本研究では現地調査を必要としない穂水分推定を可能にするために,「ゆめちから」を調査対象とし,7月の複数の衛星画像の各波長域の大気上端反射率と撮影日の穂水分の関係を評価した.赤域(Rred)では全穂水分との間に,寄与率63%の負の相関関係を示した.近赤外域(Rnir)では各画像で平均寄与率55%の正の相関関係を示したが,その関係は画像間で異なった.青域(Rblue)でも画像間差が見られたが,その傾向はRnirと相反した.そこでRblueを乗じることでRnirの画像間差は減少すると判断し,新指数(Improved Ratio Vegetation Index(IRVI)=(Rblue×Rnir)/Rred)を考案した.IRVIは全穂水分との間に寄与率81%,Root Mean Square Error 2.4%の正の相関関係があり,NDVIより高い推定精度を示した.したがって,得られた回帰式は,他時期の衛星画像の穂水分推定にも利用できる可能性がある.