日本薬理学雑誌
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特集 加速する iPS 細胞の実用化研究
ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた新たな薬理試験法の開発
諫田 泰成山崎 大樹関野 祐子
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2017 年 149 巻 3 号 p. 110-114

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抄録

ヒトiPS細胞の技術開発は,今まで入手が困難だったヒト細胞が創薬プロセスの探索段階から非臨床試験に至るまで活用できることとなり,急速にヒトiPS細胞の利用が加速している.医薬品の安全性評価に関しては,ヒトiPS細胞由来心筋細胞を使った催不整脈性リスク予測が最も進んでおり,「健康・医療戦略」にiPS細胞技術を応用した医薬品心毒性評価法の国際標準化への提言が盛り込まれた.我々は日本安全性薬理研究会,製薬協関連コンソーシアムの協力のもとJapan iPS Cardiac Safety Assessment(JiCSA)を結成し,ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた薬理試験のプロトコルを確立した.さらに,研究施設間での実験結果の再現性を世界に先駆けて明らかにし,安全性薬理試験の国際標準化を推進している.本稿では,ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた安全性薬理試験の開発や国際バリデーション試験の状況について述べるとともに,動きベクトル解析など次世代の薬理試験についても概説する.

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© 2017 公益社団法人 日本薬理学会
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