北海道矯正歯科学会雑誌
Online ISSN : 2432-6747
Print ISSN : 0916-202X
生体親和性ガラスクロスを用いた保定床の簡便な強化法
山方 秀一山本 隆昭飯田 順一郎小林 雅博
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 29 巻 1 号 p. 11-15

詳細
抄録
可搬式保定床では床部破折がしばしば生じるが、それらのうち辺縁破折に関しては対応に苦慮することが少なくはない。今回、生体親和性に優れたガラスクロスを用いて床部全体を補強する方法を考案し、その補強効果に関する実験的検討を行った。実験には2×15×40mmの板状試験片を用い、補強形態の違いからレジン単体型(タイプ1)およびガラスクロス中立面配置型(タイプ2)、ガラスクロス表層配置型(タイプ3)の3種に区別した。なお、ガラスクロスにはシランカップリング処理を施した。3点曲げ試験から得られた各試料の機械的特性は以下のとおりであった。1.曲げ弾性率の平均値では、タイプ2はタイプ1の約1.3倍で、タイプ3はタイプ1の約1.4倍、タイプ2の約1.1倍であった。2.曲げ強さの平均値では、タイプ2はタイプ1の約1.4倍で、タイプ3はタイプ1の約1.7倍、タイプ2の約1.2倍であった。以上より、通法のふりかけ重合法を用いた簡便な複合材料化は、保定装置用常温重合レジンに十分に大きな補強効果を与える方法であると考えられる。
著者関連情報
© 2001 北海道矯正歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top