海洋深層水研究
Online ISSN : 1884-958X
Print ISSN : 1345-8477
ISSN-L : 1345-8477
海洋深層水を用いたマクサの培養と富山湾深層水放水域での成長予測
松村 航渡辺 健南條 暢聡浦邉 清治林 正敏池田 知司藤田 大介
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 6 巻 1 号 p. 1-8

詳細
抄録
富栄養かつ低温の富山湾深層水 (以下, 深層水) 排水・余剰水の沿岸への放流がテングサ場に与える影響を調べるため, マクサGelidium elegans Kützing枝片の流水培養を行った. 深層水の換水率4条件 (1, 3, 5, 10回転/日) では5~10回転/日, 水温5条件 (10, 15, 20, 25, 30℃) では20~25℃, 光量子密度4条件 (20, 60, 100, 200μE/m2/sec) では60~100μE/m2/secで高い相対成長率 (RGR) を示した.5段階の深層一表層混合水 (深層水濃度;100, 75, 50, 25, 0%) で培養した結果, 深層水の割合が大きいほどRGRは高かった.以上の結果から予測すると, 深層水 (3℃) を放流した場合は夏季 (表層水温27℃) のみ, 15℃ 昇温させて放流した場合は冬季 (同10℃) にもマクサの成長は促進される.ただし, 深層水の割合が高いと付着珪藻の増加が懸念される.
著者関連情報
© 海洋深層水利用学会
次の記事
feedback
Top