海洋深層水研究
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海洋深層水の放水による海水交換促進工法の羅臼漁港への適用性
瀬戸 雅文
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2008 年 9 巻 2 号 p. 59-68

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抄録

漁港泊地内の海底面に沿って海洋深層水を噴流状態で放出すると, 周辺の海水を大規模に連行しながら流れの幅を扇状に増大させる. 連行による流量の増加とともに噴流内の流速は減少し, 流れは次第に密度流的な同心円状の拡がりに変化しながら, 下層密度流として港口の下層部より流出し, 流出量に相当する外海水が表層より漁港内へ流入し海水交換が促進される. 本研究は, 2006年より海洋深層水の本格取水が開始された羅臼漁港をモデルケースとして, 港内で最も閉鎖性が高く水質低下が認められる, 西側澗内より海洋深層水を放出した場合の海水交換促進効果を数値解析および水理模型実験より検討した. その結果, 海洋深層水の放水による当該海域の海水交換速度は, 大潮時における海水交換速度と比較して2~12倍の促進効果が, 密度フルード数で評価される放出条件に依存して発現することがわかった

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