本稿の目的は、近年の中国のネット流行語の特徴に関する分析を通じて中国の若者のアイデンティティの変容を考察することである。まず、本稿では近年の中国ネット流行語の特徴を整理し、そして、若者のアイデンティティの視点からネット流行語を分析した先行研究を批判的に検討する。そこで、先行研究の問題点を解決するために、筆者は後期近代論及び消費社会論を通じて近年の中国ネット流行語の二つの特徴―身体性と消費性を分析する。そして、これらの分析から三つの結論を導出するのである。それは、第一に、近年の中国ネット流行語が中国の若者の個人化によって生まれた産物である。第二に、ネット流行語が若者のアイデンティティを維持する機能を持つのである。第三に、ネット流行語の使い方から見ると、中国の若者は多元的アイデンティティによる後期近代を適応する戦略を取っているのである。そして最後に、中国若者研究の現代的課題を指摘する。