抄録
1) アサガオ紫の光周感受性に関与する色素系に対する単色光の作用に関する予備実験の結果から, 16時間暗期の直前に短時間赤色光を照射するど, 発芽時より青・緑・近赤外光および暗黒下で生育した植物は常に花成誘導が起こる.これに対し, 同様に照射した近赤外光は赤色光下で生育した植物の花成誘導を阻害する.この事実は回析格子照射分光器からの波長光による実験を容易にした.
2) 暗期直前に照射する赤色光の花成誘導に対する効果について, 螢光灯 (純単色) による赤色光と照射分光器からの波長光 (520~680nm) とを比較した.
3) 花成誘導の阻害については, つねに花成誘導の起こる連続赤色光下で生育した植物に対し, 白熱灯を光源としてフィルターIR-1と熱線吸収ガラスとを通して得た近赤外光と照射分光器による波長光 (650~780nm) とを, 暗期直前に短時間照射することによって比較した.
4) 100%花成を誘導するのに必要な全エネルギー量は, 赤色螢光灯では37×106erg/cm2, 波長光では8.9×106erg/cm2であった.花成誘導の完全な阻害についてはフィルターによる近赤外光は8.6×106erg/cm2であり, 波長光は9.9×104 erg, /cm2であった.
本実験で, 同じ効果を生じるのに必要な全エネルギー量は, 波長光以外の光において波長光より, あるいは真の値より大きな値を示し, この事実は波長光以外の単色光を用いる実験に際して留意すべきことを提示した.
5) 花成誘導に有効な波長域はおおよそ500~600nm, 620~640nmと650~675nmの3波長域であり, 花成誘導の阻害は710~770nmの波長域である.
6) 考察において光・温度などの実験条件について精細に検討し, 螢光灯と潅長光による全エネルギーに差のある理由について考察した.