抄録
作物に対するNO2ガス障害の機作を明らかにするためインゲン, キュウリ, トマト, ナス, ホウレンソウなどを用いて実験を行なった.
葉にOED液を塗布するとNO2ガス障害が軽減し, とくに葉裏への塗布の効果が著しかった.
暗条件下でNO2に接触した葉は障害が大きく, 明条件下でNO2ガスに接触したものにくらべて葉中のNO2-量が著しく多かった.葉にNaNO2液を塗布すると, NO2ガス障害と同じような症状の障害を発現した.
Hill反応を阻害するDCMUの10-4~10-3モル液を処理すると明条件下でもNO2ガス障害を著しくうけ, 無処理に比較して葉中のNO2-含量が多かった.
硝酸態チッ素の培地に生育した植物はアンモニア態チッ素の培地または無チッ素の培地に生育したものにくらべてNO2ガスによる障害が小さく, NO2ガスに接触したあとの葉中のNO2-含量が少なかった.
以上の結果から, 植物のNO2ガスによる障害はNO2イオンによって起り, NO2ガスに対する感受性には, 気孔からとりこまれるNO2ガスの量の多少と同時に, 植物のNO2-を還元する生理的活性が関係するといえよう.
葉中にとりこまれたNO2-は亜硝酸還元酵素によって還元されるが, 本酵素のクロロプラストにおける光化学系に依存した亜硝酸還元が, 光によるNO2ガス障害の軽減効果に強く関係しているものと考えられる.