抄録
前報では植物に対する人工光照射の自動制御を目的とした装置の開発とその特性解析について報告した.この装置ではスペクトル組成の異なる6種のランプを光源として用い, 各ランプの光出力を操作することによりスペクトル組成の制御を可能とした.本報では, 制御スペクトル組成のモニタリングのために, シミュレータと表示装置を試作しその特性を解析した.
シミュレーションには次の方式をとった.前報の光制御装置で用いた6種のランプの発光スペクトル強度はそれぞれ波長の関数として表わされる.また合成されたスペクトル強度は各ランプのスペクトル強度の和として示される.そこで各ランプの定格点燈におけるスペクトル強度を5nmのサンプリング間隔でディジタル化し, 記憶素子ROM (8ビット・256ワード) にコーディングした.この記憶された関数をA-D変換器を通して関数発生器より出力した.次にポテンシオメータで設定した各ランプの光出力の設定値に対応したパラメータと関数発生器の出力値とをバッファアンプを用いて乗じた.この乗算値をサミングアンプにより波長ごとに加算し合成された光のスペクトル組成としてストーレッジCRT上に表示した.それと同時にポテンシオメータの設定値を光制御装置における調光信号として用いた.
この方式により各ランプの調光パラメータに対応したスペクトル組成の変化をモニタリングしながら光スペクトル組成を制御することが可能となった.シミュレート値と計測値は良く近似しており, スペクトル組成のモニタリング装置としては十分な性能で有効であることがわかった.