抄録
前報で, 植物生育の電算機制御に必要な生育情報を得る1つの方法として, 植物の画像処理が有効であることが明らかとなった.本報では, テレビカメラと電算機を用いたオンラインシステムによって植物の画像処理をおこない, 統計的パターン認識による生育評価法の確立を試みた.
材料植物としてはキュウリ“青節成”を用い, ファイトトロンガラス室内で19~22℃, 24~26℃, 29~33℃ (相対湿度60~70%) の各温度条件下で栽培した.発芽後10~26日間に, 4口ごとに画像処理と生育測定をおこなった.
撮影にはテレビカメラを垂直角45°に固定し, 植物をターンテーブルによって水平角40°ごとに回転して9個の画像を撮った.各画像を, 植物の全像だけが‘1’となる反射輝度のスライスレベルを設定して, 256×256メッシュで2値化し, ディスクメモリに記憶した.これら9個の2値化画像を加算して, 合成マトリックスを得た.合成マトリックスにおける植物像は楕円状となり, 生育にしたがって楕円の大きさと合成マトリックスの要素の数的増加が認められた.この合成マトリックスの要素の和 (P) をとり, Pと各温度条件下での草たけ, 葉面積, 生体重, 乾物重との関係はそれぞれ回帰式 (3) で示され, 生育の量的評価が可能となった.一方, 高温条件下 (29~33℃) での生育は徒長状態となるが, Pによっては正常な生育との識別が不可能であった.そこで, 合成マトリックスにおける図心 (centroid) の垂直方向の位置 (Jl) を式 (4) , (5) で求め, 各温度条件下でのJlとPとの関係をしらべた.その結果, 正常な生育と徒長とは2つの群に分かれ, それぞれ異なる回帰式を有することが明らかとなった.正常生育と徒長との分類をおこなうための識別関数として, それぞれの回帰式の信頼限界式 (8) を用い, 生育特性のクラス分類法をつくった.この方法では, たとえばFig.7, 8において点 (Pi, Jli) がNに含まれるならば正常, Sに含まれるならば徒長と識別される.したがって, 植物画像処理で得られたPおよびJlを用いて, 生育の量的評価と同時に生育特性の差異を識別することが可能となった.