生物環境調節
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トマトの水耕密植低段栽培の育苗時における培養液温と培養液に対する酸素供給が苗の生育と果実生産に及ぼす影響
大河内 信夫桝田 正治浅平 端
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1978 年 16 巻 4 号 p. 119-128

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抄録

育苗期間中の培養液の液温および溶存酸素がトマト苗に及ぼす影響を調べ, 密植低段栽培に適した苗の育苗方法について検討した.
トマト苗に対する夜間の最低液温の影響は, 高温 (17℃) で草丈, 最大葉長, 最大根長が, 無加温 (8℃) よりも優れていた.また, 両区において, 展葉数, 到花日数に差は認められなかったが, 無加温育苗は, 奇形果をつける株が高温育苗よりも多かった.したがって, 最低気温を10℃, 夜温を12℃程度が適当と考えられる.
培養液への通気は, 無通気に比べ茎葉重, 根重, 根長を増加させたが, 展葉数, 第1段花房の到花日数では, 差がなかった.また, 栽植密度が高くなると, 苗の生育は抑えられるが, 無覆がい無通気育苗が最もコンパクトな草姿となった.
積極的な培養液への酸素供給は, 茎葉の繁茂をもたらし, 乱形果を発生させた.
秋から春には種する水耕トマトの育苗は, 無覆がい無通気育苗法がよく, 果実の品質, 収量に好結果をもたらすと考えられ, こうした育苗方法で, 10a当り, 7, 000本の栽植密度で10t以上の収量が見込まれる.

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© 日本生物環境工学会
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