生物環境調節
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ブラジルカーティンガ砂漠に生育する植物の気孔
倉石 晉橋本 康滝内 基弘アンドラデ リマ ダルダノ デ
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1978 年 16 巻 4 号 p. 113-118

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抄録
ブラジルの砂漠カーティンガに生育する植物の気孔開度を測定する目的で, 植物の葉温の変化を赤外線放射温度計を使って測定した.サボテンの一種であるPilosocerus gonelleiの葉 (毛) の温度は49.2℃と従来の放射温度計で測定された最高温度, ウチワサボテンの46℃よりも高かったが, .Pilosocerusの茎では45.1℃にすぎなかった.9種の植物にアブシジン酸を処理し, 4時間あるいは24時間後の葉温の変化を調べたが, サボテン科にアナナス属あるいは苔類をのぞいて, すべてアブシジン酸処理により葉温の増加を示し, 日中の砂漠の炎天下でこうした植物は気孔が開いていることを示している.高照度下の砂漠植物の蒸散を拡散抵抗計ではほとんど測定できないことから, アブシジン酸を用いて葉温を測定することにより, 砂漠植物などの気孔開度の測定を行うことの可能性が示された.
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© 日本生物環境工学会
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