生物環境調節
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ブドウの周年栽培のシステム化に関する研究
黒岡 浩湯田 英二中川 昌一
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1979 年 17 巻 3-4 号 p. 103-114

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抄録

ブドウ苗木による周年生産体系の基礎資料を得るため, 巨峰2年生苗木を1℃で貯蔵し, 1か月ごとに出庫, 植え付け, その後の生育と果実の品質について調査した.また, 貯蔵温度が苗木の品質と植え付け後の生育に及ぼす影響についても検討した.
1) 生育周期は貯蔵期間の長さ, および植え付け後の環境条件によって影響された.花穂の発育は苗木の貯蔵期間が長いほど劣る傾向があり, 高温時の7, 8月の植え付けでも劣った.
2) 9月以降に植えた区の新梢伸長は短日条件となるため著しく抑制された.したがって, 秋から冬期にかけての栽培は電照による補光の必要性が認められた.
3) 収穫時の果粒の大きさは, 貯蔵区のいずれの区でも標準区より劣り, 7, 9月区では標準区の65%にとどまった.5月区の果粒はやや小さかったが, 品質は最もすぐれた.
4) 苗木の貯蔵温度の差異による植え付け後の生育については, -2℃において, 新稍伸長および果粒の発育がともに劣った.4℃は根の腐敗および糸状菌の発生が多かったが, 植え付け後の生育はすぐれた.

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© 日本生物環境工学会
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