生物環境調節
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17 巻, 3-4 号
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  • 黒岡 浩, 湯田 英二, 中川 昌一
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 103-114
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ブドウ苗木による周年生産体系の基礎資料を得るため, 巨峰2年生苗木を1℃で貯蔵し, 1か月ごとに出庫, 植え付け, その後の生育と果実の品質について調査した.また, 貯蔵温度が苗木の品質と植え付け後の生育に及ぼす影響についても検討した.
    1) 生育周期は貯蔵期間の長さ, および植え付け後の環境条件によって影響された.花穂の発育は苗木の貯蔵期間が長いほど劣る傾向があり, 高温時の7, 8月の植え付けでも劣った.
    2) 9月以降に植えた区の新梢伸長は短日条件となるため著しく抑制された.したがって, 秋から冬期にかけての栽培は電照による補光の必要性が認められた.
    3) 収穫時の果粒の大きさは, 貯蔵区のいずれの区でも標準区より劣り, 7, 9月区では標準区の65%にとどまった.5月区の果粒はやや小さかったが, 品質は最もすぐれた.
    4) 苗木の貯蔵温度の差異による植え付け後の生育については, -2℃において, 新稍伸長および果粒の発育がともに劣った.4℃は根の腐敗および糸状菌の発生が多かったが, 植え付け後の生育はすぐれた.
  • 木村 和義
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 115-121
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    コムギの第1葉の葉身傾斜反応に対する単色光の影響および青色光と赤色光の相互作用について検討した.
    1) 青色光は葉身傾斜反応を促進し, 72時間の傾斜で113゜の傾斜角度を示した.緑色, 黄色, 赤色光照射および暗黒条件では12~140とほとんど傾斜しなかった.白色光および遠赤色光では30。前後でいくらか傾斜角度を増大する傾向がみられた.
    2) 葉身傾斜反応の促進は380~510nmの青色光の波長域の範囲でみられ, とくに440~480nmの範囲で最高の促進効果を示した.
    3) 最高の葉身傾斜反応をひきおこす青色光の強さは2000erg/cm2/secで十分であり, 72時間以上の照射が必要である.
    4) 葉身傾斜反応は第1葉のラミナジョイントが芽鞘から出現した時期 (発芽後7日目) から2~3日間が青色光に対して感受性が高く, この時期の青色光の強さによって角度が決定される.
    5) 青色光による葉身傾斜反応の促進効果は赤色光照射によって阻害される.とくに630~640nmの波長範囲の光が傾斜反応を強く抑制した.
    6) 青色光の促進効果の赤色光による阻害作用は青色光に対する赤色光の混合割合 (R/B ratio) によって影響される.72時間青色光のみを照射した場合の傾斜角度は1000前後であるが, 青色光にその1/10のエネルギー量の赤色光を同時に照射すると (R/B ratio 1/10) , 青色光のみの照射時の半分以下の40°になり, R/B ratioが1/4で30゜, 1/2で250, 1で約20゜と赤色光のみの照射時の傾斜角度に近い値になる.
  • 環境要因が菌まわりに及ぼす影響
    森本 直明, 衣川 堅二郎, 小松 貞雄
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 123-126
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    食用野生菌, ヌメリスギタケ (Pholiota adiposa) のをオガクズとコメヌカによって人工栽培するため, まず種々の培地を調製し, 菌糸がまん延 (菌まわり) する諸条件を検討した.菌まわりに良好な培地の材料構成比は, オガクズ: コメヌカ比で5: 1または3: 1が適当で, 含水量が63~76%の範囲では結果に大差はみられなかった.光照射や培養びんの栓の影響はみられなかった.しかし, まったく通気を遮断すると菌糸の生育は悪かった.最も早く菌まわりの完了する温度は25℃であったが, 15~20℃で培養した方が比較的安定した菌糸の生育が見られた.
  • 発茸と栽培条件
    森本 直明, 衣川 堅二郎, 小松 貞雄
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 127-133
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ヌメリスギタケ (Pholiota adiposa) の発茸および収穫に及ぼす栽培条件の影響について検討した.発茸に適するオガクズ: コメヌカの材料構成比は菌糸生育の場合と同様5: 1であったが, 培地水分は70%が良好であった.子実体の整一な発生には, エノキタケ, ヒラタケで行われている「菌カキ」が本菌でも有効であり, さらに培地上層を高湿度に保持することが重要であった.そのため, 菌まわりが終った直後に菌カキを行い, 1夜浸水し再び施栓して発茸させたところ, 良い結果を得た.発茸後収穫までは1日2回の散水が必要であった.また, 発茸に適する温度は18℃で, 変温の効果はみられなかった.光は発茸を促進し, 傘の分化発育には不可欠であったが, いずれも10~50luxの弱光で充分であった.強光を与えると傘の着色が著しかった.このキノコの商品としての好ましい姿を考える場合, とくに光条件に注目する必要があろう.
  • 土田 耕三, 吉武 成美
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 135-140
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    カイコ2化性品種宝鐘の卵期を25℃全明 (24L) 条件で保護し, 孵化後幼虫期間を400, 460, 500, 540, 590, 670, 700および710nmの波長をもつ単色光下, 長日 (20L4D, 24L) 条件において, 桑葉粉末50%を含む人工飼料で飼育を行った.その結果, 540nm以下の単色光下で飼育した場合, 非休眠卵を産む蛾が多くあらわれた.この場合, 24Lよりは20L4Dの光条件の方が非休眠卵を産む蛾が多くなる傾向があり, しかも幼虫期の経過の早いものほど, その傾向は強かった.
    また, カイコを桑葉で飼育し, 各波長光下, 長日条件で飼育した場合には, すべての実験区で非休眠卵を産む蛾はえられなかった.
    以上の結果から, 人工飼料を用いて飼育したカイコは, 幼虫期にも540nm以下の光に感じて休眠性に変化を生ずることが明らかになった.休眠性決定に関する従来の研究結果から, 長日条件は脳一食道下神経節系からの休眠ホルモンの分泌を抑えていることが推定される.
  • 森 啓一郎, 江口 弘美, 松井 健
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 141-152
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    植物の生育および分化に関与する環境要因の作用を量的に評価するために, 前報においてステップ降下による低温ならびに日長に作用される白菜花茎伸長の数式モデルを報告した.本報告においては温度勾配をもって降下させた低温の花茎伸長に対する効果を評価し, その評価関数を組み入れた数式モデルに発展させることを試みた.植物材料としては, 春播白菜「長岡交配耐病六十日」を用い播種後15日目 (2葉期) の幼苗を実験に供した.温度処理は異なる温度降下勾配および5℃に降下した後の異なる処理時間を設定した.その結果, 花茎伸長は温度降下勾配と低温 (5℃) の処理時間によって花茎の最終値および花茎伸長の立ち上りの遅れに明瞭な差異がみられた.
    各処理条件における花茎長は低温処理終了からの経過日数を独立変数とするlogistic curve式に適合した.この式を1次遅れ式に近似させ, 花茎の最終値および立ち上りの遅れを1次遅れ式の漸近値および時定数とむだ時間の和として評価した.前報でステップ降下による低温効果の評価パラメータとしてlog10 (td+α) (tdは低温処理時間, αは定数) , log10T1/2td2 (△T=20℃-処理温度) が用いられうることが明らかになったが, ある勾配をもって降下させた低温の花茎伸長に対する効果は低温評価パラメータと同じ関数型のlog10 (tm+β) (tmは5℃になるまでの時間, βは定数) およびlog10T1/2tm2で評価された.
    このモデルから, 勾配をもって降下する温度も低温の効果として加算的に作用するとともに, 一定低温 (5℃) の効果を相乗的な形で強めることがわかった.
  • 古川 昭雄, 磯田 統, 岩城 英夫, 戸塚 績
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 153-159
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    蒸散速度に対するSO2の効果は植物の種によって大きく異なった.イネとトマトでは, SO2を処理するとただちに蒸散速度は急激に低下した.他の植物の蒸散速度はSO2処理によって徐々に低下したが, ある種ではSO2処理直後に増加し, その後徐々に低下した.蒸散速度が急激に減少する植物は概して蒸散速度が徐々に低下する植物よりも高いSO2抵抗性を有していた.しかし, この関係が常に存在するとは限らない.イチョウの蒸散はSO2によって促進されるが, 可視障害の発現は観察されなかった.すなわち, SO2に対する抵抗性の種間差はSO2に対する蒸散の反応, 換言すれば, 気孔の反応とは必ずしも一致しない.
  • 古川 昭雄, 戸塚 績
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 161-166
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ヒマワリの純光合成速度に対するNO2, SO2, O3の単独処理と混合処理の影響を調べた.使用した汚染質の濃度は, NO2が1.0か0.2ppm, SO2とO3は0.2ppmである.
    1.0ppm NO2, 0.2ppm O3, 0.2ppm SO2単独処理では光合成速度の低下は観察されなかった.これらの濃度の大気汚染質を2種類もしくは3種類混合して処理すると顕著な光合成速度の減少が見られた.NO2とSO2の混合処理ではNO2の濃度が変わると光合成阻害は変化するが, NO2とO3, NO2, SO2, O3の混合処理の場合には, NO2濃度が1.0ppmでも0.2ppmでも光合成阻害の度合には差がなかった.
    NO2とO3混合処理による光合成阻害の傾向はSO2とO3, もしくはNO2, SO2, O3混合処理による阻害傾向とはまったく異なっていた.NO2とO3の混合処理では光合成速度は処理時間に比例して減少したが, SO2とO3, もしくは, NO2, SO2, O3の混合処理では光合成速度は急激に減少した.
  • 第17巻 (1979)
    1979 年 17 巻 3-4 号 p. 173-176
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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