コムギの第1葉の葉身傾斜反応に対する単色光の影響および青色光と赤色光の相互作用について検討した.
1) 青色光は葉身傾斜反応を促進し, 72時間の傾斜で113゜の傾斜角度を示した.緑色, 黄色, 赤色光照射および暗黒条件では12~140とほとんど傾斜しなかった.白色光および遠赤色光では30。前後でいくらか傾斜角度を増大する傾向がみられた.
2) 葉身傾斜反応の促進は380~510nmの青色光の波長域の範囲でみられ, とくに440~480nmの範囲で最高の促進効果を示した.
3) 最高の葉身傾斜反応をひきおこす青色光の強さは2000erg/cm
2/secで十分であり, 72時間以上の照射が必要である.
4) 葉身傾斜反応は第1葉のラミナジョイントが芽鞘から出現した時期 (発芽後7日目) から2~3日間が青色光に対して感受性が高く, この時期の青色光の強さによって角度が決定される.
5) 青色光による葉身傾斜反応の促進効果は赤色光照射によって阻害される.とくに630~640nmの波長範囲の光が傾斜反応を強く抑制した.
6) 青色光の促進効果の赤色光による阻害作用は青色光に対する赤色光の混合割合 (R/B ratio) によって影響される.72時間青色光のみを照射した場合の傾斜角度は1000前後であるが, 青色光にその1/10のエネルギー量の赤色光を同時に照射すると (R/B ratio 1/10) , 青色光のみの照射時の半分以下の40°になり, R/B ratioが1/4で30゜, 1/2で250, 1で約20゜と赤色光のみの照射時の傾斜角度に近い値になる.
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