生物環境調節
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トマトの生育とミネラル分布におよぼす過剰厩肥施用の影響
大西 成長佳山 良正
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1980 年 18 巻 4 号 p. 111-117

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抄録
筆者らは前報で述べたビニールシートを底に敷いた耕土に厩肥50t/10a区と5t/10a区を設けて, ハウス内でトマトの生育とミネラルの分布におよぼす過剰厩肥の影響について試験をしたので, その2年間の成績をまとめて報告する.
使用した厩肥の, N, K, Caの含有率は高く, それぞれ2.8, 2.8, 2.4%であった.地上部と地下部乾燥重量の増加過程には大きな差がなかったが, 50t区がやや大で, その原因は葉数および葉面積の増大と考えられる.
果実の収量は1作目が, 5t区のほうが生重量で1.2t/10a多く, 2作目では逆に1.08t/10a 50t区のほうが多かった.2作目の着果数は50t区10~12に対して, 5t区は8~9であった.土壌の置換性KとCaのme比が0.2以下になると不良果の発生が急激に増加するといわれるが, 2作目の50t区のK/Caが0.25になったが不良果の発生はみなかった.果汁の糖度Brixは第1作で50t区5.8, 5t区4.8で, 50t区で高い傾向がみられた.葉序に関係なく全体から採った部位を混合して分析した結果, Kの含有率は葉, 茎, 根とも成熟とともに低下した.生育全期を含めて茎, 葉間, また厩肥50t施用区と5t施用区間のK含有率を比較しても有意な差がみられなかったが, 各生育期ごとにみると, とくに処理間に大きな差がみられた.Kの集積は葉, 茎ともに著しいが, 葉柄への集積がとくに著しく, 5t区では上部の葉柄が22%の高い集積を示したが, 下位の葉柄は5.6%にすぎなく, 50t区は全葉柄が平均21%を示した.また葉, 茎には高濃度のKが集積するが, 果実は平均4%台以上にならず, その上昇が抑制されていると考えられた.50t区は土壌が高K, 高Ca条件下にあり, Caの吸収阻害によるトマトの茎葉のCa含有率の低下が, 5t区と比較して明らかであり, Mgは高K条件による吸収阻害から茎において低い現象がみられた.
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© 日本生物環境工学会
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