抄録
一定の環境に制御した人工光型グロースキャビネットで, ロシアヒマワリを播種後14日めから12日間, 0.1ppmおよび0.2ppmのオゾン (O3) に暴露し, 植物の乾物生長に及ぼすO3の影響について検討した.O3暴露開始日および6日め, 12日めに植物を選出して葉面積, 器官別乾重などを測定し, それをもとに生長解析法を用いて生長の各パラメータを算出した.0.1ppmおよび0.2ppmO3によって著しい可視障害が葉面に発現し, 下位葉の枯死が促進された.0.1ppmおよび0.2ppmO3は暴露開始後12日めで, 植物個体の乾重をおのおの対照より11%, 32%減少させた.O3暴露によって各器官とも乾重の増加が抑制されたが, その程度は根で最も大きく, 葉で最も小さかった.また葉面積増加も葉乾重増加と同程度にO3によって抑制された.生長解析の結果, 0.1ppmO3は暴露前半の6日間に植物の相対生長率 (RGR) や純同化率 (NAR) を対照と比較して減少させたが, 後半は減少させなかった.これに対して0.2ppmO3は暴露期間を通じRGRやNARを減少させたが, 後半におけるRGRの減少率はNARの減少率に比べて小さかった.また0.2ppmO3は植物の葉面積比 (LAR) や葉重比 (LWR) を対照より増加させたが, 一方茎重比 (SWR) や根重比 (RWR) を減少させた.これらの結果から, 低濃度O3の長期間暴露は植物の純光合成速度や光合成産物の分配率に影響することが示唆された.