抄録
12L (6, 500lux, 25℃) ~12D (15℃) で3週間生育させたコマツナ (Byassica campestyis L.var.pevvividis L.H.Bailey) に10, 20, 30℃のもとで0, 3, 000, 10, 000および20, 000luxの光を43時間連続照射し, L-アスコルビン酸含量に及ぼす光, 温度条件の影響について検討した.
いずれの温度条件においてもL-アスコルビン酸含量は光が弱い場合には光の強さの増大に伴い急速に増加した.しかし, 光が強まるとL-アスコルビン酸含量の増加速度は低下し, やがて光飽和状態に達する傾向が認められた.L-アスコルビン酸含量が光飽和に到達するときの光の強さは温度が高いほど高い値を示した.
同様の光, 温度条件のもとで光照射処理が乾燥重量に及ぼす影響を調べたところ, 光照射による乾燥重量増加量は20, 30℃では20, 000luxまで光の強さを増すに従って増加するが, 10℃では3, 000lux以上において光の強さの増大に伴い減少した.しかし, 同じ光, 温度条件下でL-アスコルビン酸含量にはそのような減少が見られず, 光が強まった場合にもその温度条件における最高値を保った.
したがって, コマツナのL-アスコルビン酸含量は光, 温度条件の影響を受けるが, みかけの光合成量の増減の影響を必ずしも直接的に受けるものではない.