抄録
カイコ卵の孵化に対する光条件の影響について検討を行った.孵化は, 光条件の違いによって5つの孵化型に分けることができる.すなわち, 全明型, 全暗型, 暗・明型, 明・暗I型および明・暗II型である.次に5つの孵化型における孵化機構を検討した.その結果, 暗中でステージ29, 30に達した胚子は, 暗→明切替え刺激によって直ちに斉一な孵化を行う (暗・明型) が, 切替えする明は1時間あれば十分であった.また, 明中でステージ28~30に達した胚子は明→暗切替え刺激を行った後, 暗中で15時間+n日 (n=0, 1, 2) 後に斉一な孵化を行う (明・暗II型) が, 切替えする暗は3時間以上あれば十分であった.一方, 全暗条件や全明条件では, いずれも孵化が遅れ, しかもだらつく傾向がみられたが, 全暗のほうが中央に鋭いピークのある孵化型を示した (全暗型, 全明型) .さらにステージ28以前に暗→明切替えした場合は全明型を示した.これに対してステージ21からステージ27までの間の明→暗切替えは孵化を促進し, かつ斉一になる傾向がみられ (明・暗I型) , ステージ28以後の明→暗切替えとは異なった孵化型を示した.