1986 年 24 巻 2 号 p. 59-66
単一劣性遺伝子によって支配されているイネの第2節間は自然条件下では5mm以上には伸長しない.この遺伝的な非伸長節間は, 花芽形成後1週間高温で処理することによって, 伸長させることができる.しかし, 低温では伸長させることができない.この非伸長節間は, 他の節間や正常なイネの第2節間と比較して, IAA酸化酵素の活性が著しく高いことが判明した.この異常に高いIAA酸化酵素の活性は, 高温ストレスによって減少し, 低温では減少しない.この遺伝的な非伸長節間の伸長は, 高温によって誘導されたIAA酸化酵素活性の低下と一致していた.一方, 非伸長節間はNAAによって伸長を誘起させることができた.この結果遺伝的非伸長節間の伸長制御には, IAA-IAA酸化酵素系が関与していることが推察される.