生物環境調節
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カイコ摂食行動の日周リズムについてアクトグラフの製作ならびにリズムパターンの解析
住本 憲一
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1987 年 25 巻 3 号 p. 75-81

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抄録
昆虫の摂食活動の日内変動を調べるには, その変動を自動記録する必要がある.著者はカイコの摂食リズムを追跡する目的のために, すでに報告されている記録装置 (アクトグラフ) に2, 3の改変を加え, 動検出部, 増幅部, 記録部, 摂食時間計測部から成る摂食アクトグラフを製作した.この装置の増幅部に組み込まれてある電圧比較回路は雑音信号除去にすぐれた効果があった.摂食時間計測部は電子リレー, 1秒クロック発信器, パルスカウンター, デジタルプリンターで構成されており, 増幅部の後に挿入された積分回路の出力によって作動状態が調節されるようになっている.デジタルプリンターに記録された摂食活性値 (2時間という単位時間内で行われた摂食活動の合計時間) を指標にして, 8L-16D, 12L-12D, 16L-8Dあるいは20L-4Dというような光周期条件下における5齢カイコの摂食リズムを調べたところ, 日周リズムのパターンは, 日長が16L-8D以下の短日のときには, 明期の中央と暗期の7~8時間目とにピークがある双峰型を呈しているが, 暗期のピークの位相は日長が長くなるのに伴って次第に後退し, 20L-4D日のときには明期のピークの直前に相を移して現れており, その結果として日周リズムのパターンは昼行性のような単峰型に転換している.双峰型活動のパターンにおける暗期のピークは明期のそれよりもはるかに大きく, 活動型は夜行型に近い.このことからみれば, カイコは昼行性と夜行性の2種の活動性を合わせもつ昆虫であるといえよう.明期の長さ, あるいは暗期の長さと活動ピークとの間にみられる上述のような関係は, この昆虫の摂食活動を調節するしくみには夜明け時計と日暮れ時計の両者がかかわっていることを示唆しているといえよう.
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© 日本生物環境工学会
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